Paul Krugman "Inequality"
Paul KrugmanのSubstackの有料連載
https://stonecenter.gc.cuny.edu/ で無料公開される予定らしい
from 2025-06-22
Inequality, Part IV: Oligarchs - Paul Krugman
アメリカは再び寡頭制の時代に入った
昔は普通だった主張
1912年のWoodrow Wilson(人種差別主義者ではあったが経済では進歩的)は、「政府を支配するほど金持ちがいるなら、政府は彼らのものになる」と警告した
https://ja.wikipedia.org/wiki/ウッドロウ・ウィルソン
それが当たり前の政治的視点だった時代があった
いまは言いづらい時代
現代の政治家は、金持ちの力を批判するのを恐れる
だが現実には、超富裕層(トップ0.01%)がかつてないほどの影響力を持っている
例:Elon Musk
立法の乗っ取り
議会は「One Big Beautiful Bill Act」のように、国民が嫌っても富裕層が望む法案を通そうとしている
本シリーズの位置づけ
本稿は不平等に関する連載の第4回
今回は「極端な富の集中」と「アメリカ型oligarchy(寡頭制)」の成立過程がテーマ
※政治・社会への影響(民主主義をどう蝕むか)は今後の回で扱う予定
Jun 29, 2025 Inequality, Part V: Predatory Financialization
ウォール街の金融業界がどのようにしてアメリカにおける格差を拡大してきたかを論じている。
米国経済の格差構造における金融業界の役割を俯瞰し、「単なる高給職」ではなく「構造的な富の偏在の原因」としての金融を批判的に捉えている
主なポイント
1987年時点ですでに高給だった
映画『ウォール街』。当時でも「普通の金融マン」が今で言えば年収1億円超を稼いでいた。
一部はさらに桁外れの富を得ていた。
現在の超富裕層の多くは金融出身
テック業界がトップだが、フォーブス400の下位にはヘッジファンドやプライベートエクイティで財を成した人物が並ぶ。
例:スティーブン・シュワルツマン、ケン・グリフィン。
金融化 (financialization)
金融業の経済全体に占める割合の増大。
金融的ロジックが製造業など非金融部門にまで浸透。
これにより格差が拡大してきた。
有料部分で扱う予定の内容
1. 金融セクターの成長とその原因
2. 金融の成長が格差をどう直接的に拡大するか
3. ウォール街の影響が他産業の運営方法をどう変えたか
Inequality, Part VI: Wealth and Power - Paul Krugman
Part Vで生まれた富がどのように政治的権力へと転化されるのか
資本主義やってると格差はどうしても出る。だから政府が税金や給付でそれを緩和する
アメリカでも一応やってる。税引き後のジニ係数は前よりマシ
でも1980年以降、アメリカでは格差がぐんぐん拡大中。富裕層優遇の政策(例:共和党の減税)で助長されてる
民主主義は現実には、金持ちが圧倒的な政治力を持っている
みんな「知ってた」って言うけど、じゃあ具体的にどうやって金が権力に変わってるのか?
以下が本稿の焦点:
1. 今のアメリカの格差は、本当に民主主義が機能してたら起きてないレベル。
2. 金が政治に流れる一番わかりやすいルート:政治献金
3. その他の影響力行使の手段:
ロビイング、シンクタンク資金提供、規制緩和圧力、天下り…。
メディア買収して世論操作なんてのもあり。
4. 金の重力場:
政治家や規制官庁の人間も「将来、金持ち側の業界で働く」ことを前提に行動する。
結果、規制は骨抜き、再分配は骨皮、金持ちだけが得をする。
他国に比べてもアメリカは「金が政治を買う」度合いが突出してる。
本当はこれでシリーズ完結予定だったけど、最近の金融・テック業界の規制絡みの事件がありすぎて、次回に続く。
金権政治基素.icon
Inequality, Part VII: Crypto - Paul Krugman
最後の2本の入門記事のテーマを踏まえると、リアルタイムの事例研究で締めくくるのが適切だと感じました。それが「暗号資産(クリプト)産業の台頭」に関する考察です。この業界は、略奪的金融、影響力の買収、腐敗といった要素が極端な形で現れている典型例と言えるでしょう。
有料部分では、以下のトピックについて議論します:
1. 暗号資産の(奇妙な)経済学
2. 略奪的金融の一形態としての暗号資産
3. 暗号資産が格差をどう拡大するか
4. 暗号資産業界が政治をいかに腐敗させたか